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対象疾患

脳性小児麻痺

脳性小児麻痺は、出生前や出生時、あるいは出生後間もない時期に、何らかの影響で脳がダメージを受けたことで起きる手足の麻痺やけいれんなどの運動障がいを起こす症候群です。出生数1,000人に2~4人程度の割合と言われています。

原因は、脳の形成異常や低出生体重児、分娩時の酸欠、核黄疸、頭部外傷や脳炎、てんかん発作など様々です。遺伝子異常や進行性のものなどを除いた、原因不明の脳性の運動障がいの場合に「脳性麻痺」と診断されるケースが多いです。分娩に伴い脳性麻痺を発症した場合は、産科医療補償制度を利用することができます。

脳性麻痺は、損傷箇所によって大きく4つのタイプに分けられます。

1.アテトーゼ型

筋肉の動きの微調整を行なっている大脳基底核などが損傷したことで発症し、脳性麻痺の20%程度を占めると言われています。意図しないのに身体のあちこちが動いてしまいます(不随意運動)。筋緊張が強くなったり弱くなったり変動します。首をかしげたような斜頸が起きやすいです。四肢麻痺の方が多いです。

2.痙直型(けいちょくがた)

錐体路系(上位運動ニューロン)が損傷したことで発症し、脳性麻痺の70-80%を占めると言われています。手足の筋緊張が強く、突っ張った状態になります。関節には折りたたみナイフ現象が見られます(関節を他動的に動かそうとすると最初は抵抗が強いものの、その後一気に弱くなる現象)。つま先立ち(尖足)や足を交差して歩くはさみ足、股関節の曲がりなどが起きやすいです。斜視や弱視などの障がいも合併することが多いです。

3.運動失調型(弛緩型)

小脳などが損傷したことで発症し、脳性麻痺の約5%を占めると言われています。筋緊張が低くなることが多く、麻痺や震えも見られます。身体を協調して動かすのが苦手で動きが不安定です。

4.混合型

上記のタイプを2つ以上併せ持つタイプで、痙直型とアテトーゼ型の混合型が多いです。知的障がいやてんかんなどを合併していることが多いです。

よくみられる症状
  • 手足の筋肉が突っ張って硬い
  • 手首や足首、肘や膝が固まっている
  • けいれんがある
  • 体がよじれたり、突然動いたり、ピクピクと動く
  • 麻痺のある手足の発育が悪い、筋力が低下している
  • 体の調和がうまくとれず動きが不安定

症状は、ぎこちなさを感じる軽度のものから、四肢麻痺で寝たきりの状態の重いものまで、かなり幅があります。また、画像診断による脳の状態と実際の症状は、大きく異なる場合がよくあります。

脳の損傷自体は悪化しない(進行性ではない)ものの、側弯や変形といった二次的な障がいは進行していくため、治療や予防が必要となります。そのため、幼少期からマッサージを行なっている子とそうでない子を比べると、予後に大きな差が見られます。

PVL(脳室周囲白質軟化症)

PVLとは、運動神経の集まる脳の「白質」への血流が乏しかったことで、運動障がいを起こす症状です。脳の発育が未熟な時期に生まれてしまう早産児(在胎32週以下)や低出生体重児(2,500g未満)に起こりやすく、脳性麻痺の原因となります。

医療の発達によって極低出生体重児(1,500g未満)でも救命できるようになったことから、PVLの数は増えており、極低出生体重児の約7-14%で発症するとも言われています。

よくみられる症状
  • 足の筋肉が硬く突っ張ってくる
  • かかとが床につかない(尖足)
  • 足がクロスする(はさみ足)
    (脳性麻痺に至った場合は、脳性麻痺の項目をご覧ください)

脳室の近くには下肢をコントロールする神経(皮質脊髄路)が通っているので、PVLがあると下肢の麻痺を起こしやすくなります。

脳の柔軟性が高い幼少期からマッサージや感覚統合などで良質な刺激を与えてあげることで、尖足や変形などの二次障がいを防ぎつつ、自分で出来ることを増やし、生活の質を高めたり、介助の必要性を減らしたりすることが可能です。

筋ジストロフィー

正常に筋肉を動かすために必要な遺伝子に異常があることで、進行性の筋力低下を引き起こす劣性遺伝の筋疾患です。出生児から筋力低下がみられる場合と、2~3歳頃や小児期以降に発症する場合があります。

福山型

日本では最も発症頻度の高い先天性の筋ジストロフィーです。おっぱいを吸う力が弱かったり、泣き声が小さかったりすることで気付かれることもあります。ふくらはぎやほほの筋肉が肥大化し、けいれんも起きやすいです。

デュシェンヌ型

世界的に最も多い先天性の筋ジストロフィーのタイプです。X染色体に規定されて劣性遺伝するため、ほぼ男児で発症します。筋肉細胞の構造を保つ働きをしているジストロフィン(筋肉タンパク質)がほとんど作られないことによって、筋力低下が起きます。

よくみられる症状
  • 歩くのが遅い、歩き方がおかしい
  • 足取りがおぼつかない、転びやすい
  • どんどん筋力が弱まる、痩せ細る
  • ふくらはぎがパンパンに膨れて痛がる(仮性肥大)
  • 脊柱の側弯や関節の動きの制限(拘縮)がある

筋ジストロフィーは、将来医学部を目指していたり、作家になったりする子がいるほど知的レベルの高い子が多いです。その一方で、小学生年代などで突如明確な症状が現れ、どんどん症状も悪化していくため、本人の心のケアも非常に重要となってきます。

染色体異常

染色体とは、遺伝子(DNA)がタンパク質に巻きついて壊れにくくなった構造体をさします。遺伝子とは、生物を作る設計図のようなものです。色素によって色が染まりやすいため、染色体と名付けられました。

本来、人間の細胞は22対の常染色体と1対の性染色体(合計46本)で構成されています。ですが、先天的な原因により染色体の数が増減したり、形が変わってしまったりしたことで、身体に様々な症状を引き起こします。

ダウン症候群(21トリソミー)

21番目の常染色体が1本多く、トリソミーとなった状態の疾患です。1,000人に一人程度の割合で生まれると言われていますが、高齢出産の増加で日本では増加傾向にあります。心臓の疾患や内臓の奇形などの合併症を伴うことが多いです。

その他

ダウン症に次いで頻度が高い18トリソミー(エドワード症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)、性染色体異常(ターナー症候群やクラインフェルター症候群)などがあります。

よくみられる症状
  • つり上がった目や低い鼻などの特徴的な顔立ち
  • おっぱいを吸う力が弱い
  • 首がなかなか座らない、お座りがなかなかできない
  • つま先が内向きになる(内反)

てんかん

通常私たちの大脳の神経細胞は、規則正しいリズムで調和を保ちながら電気的に活動しています。てんかんは、様々な原因により大脳の神経細胞が興奮し、過剰な放電(てんかん放電)がなされることで、けいれんなどの発作を2回以上引き起こす慢性的な脳の病気です。

国内だけでも約100万人がてんかん発作の薬を飲んでいると言われており、約8割は薬で発作が治まりますが、脳性麻痺などの脳疾患を抱えている場合、難治性になりやすい傾向があります。光や疲労、睡眠不足、心理的ストレスなどが発作の引き金になりやすいため、注意が必要です。

てんかんによって脳が損傷し脳性麻痺を引き起こす場合と、脳性麻痺の合併症としててんかんを発症する場合があります。てんかん発作は脳に強いストレスを与えるため、成長期に発作が続くことは脳の発達を妨げる要因になります。

点頭てんかん・ウエスト症候群

3歳未満の乳児に起こるてんかんで、突然1-3秒程度、全身の筋肉が瞬間的に強くこわばる発作です。特徴的な脳波を示します。

よくみられる症状
  • 意識を失う
  • 全身のけいれん、つっぱり、震え
  • 手足のつっぱり、ねじれ、震え
  • 体が片側にねじれ回転する

マッサージによって、てんかんの誘発因子である疲労や睡眠不足、心理的ストレスを和らげることで、結果的にてんかんの頻度を抑えることができます。てんかんの専門医・指導医のドクターもGLITTER式マッサージ®を推奨しています。

廃用性萎縮

廃用性萎縮は、筋肉を長期間使わないことで筋肉が痩せ細ること(萎縮)です。主に寝たきりの状態で起こりやすくなります。

床ずれや骨粗鬆症、起立性低血圧、精神的合併症、便秘などを引き起こすこともあります。萎縮や関節の拘縮(こわばり)を防止する為にも、マッサージは有効です。

よくみられる症状
  • 筋肉が痩せ細る
  • 関節が硬く強張る
  • 床ずれ(褥瘡:じょくそう)

発達障がい

発達障がいとは、脳機能障がいが原因となって起こる生まれつきの障がいで、発達の遅れや凸凹(でこぼこ)、強い特性をいいます。遺伝的な要因が強いと言われていますが、まだ十分解明はされていません。1980年代後半から発達障がいという診断基準が普及しはじめ、社会的認知度も高まったことから、発達障がいと診断される人の数が増加傾向にあります。

全般的に環境の変化に弱く、適応するのが苦手な一方で、精神障がいや知能障がいを伴うものからそうでないものまで、個人差がとても大きいのも特徴です。主に3つのタイプに分けられますが、重複しているケースも多くみられます。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)

特定の分野への強いこだわりや執着と、他人の気持ちを理解したり空気を読んだりすることが苦手(社会的コミュニケーションの障がい)といった2つの大きな特徴を持ちます。女児より男児に多く、てんかんや不眠を併せ持っている子も多いです。

ADHD(注意欠陥・多動性障がい)

落ち着かない・じっとしていられない(多動)、一つのことに集中できない・小さなミスを頻発する(不注意)、人の話を遮って喋り出す(衝動性)、といった特徴を持ちます。

LD(学習障がい)

読み書き、聞く話す、算数、推論など、特定の分野の学習が著しく困難な障がいです。バランス感覚が乏しく、協調した運動が苦手な子も多いです。

よくみられる症状
  • ある物事への強いこだわり
  • 空気を読めない、友達と馴染めない
  • 落ち着かない、集中できない
  • 特定の分野の学習だけ全くできない


GLITTER式マッサージ®では、興奮した神経を落ち着かせたり、オキシトシン(幸せホルモン)の分泌を促したりすることで、脳を休ませ心身もリラックスさせ、コミュニケーションや学習を行う前提となる心身の土台を作っていきます。発達障がいの子の多くが聴覚や触覚などの問題を抱えています。そのせいで、人の声を聞いてもノイズのようにしか聞こえず、苦痛で神経が常に興奮状態になっていたりするのです。

また、糖分の多い加工食品を多く摂取させると、麻薬のように脳の特定の部位を活性化させて「多動」を誘発することも分かってきました。プラナでは栄養学の知識も用いて改善をサポートしていきます。